屋外広告物条例とは?看板を設置する上で知っておくべきポイント
新しく店舗を出店するor事務所をオープンする際、来客を促すために看板を設置して目立つようにしたいと思うことは当然ですよね。
でも実際に看板を設置するにあたって、自治体で定められた制限があることは知らない方が多いと思います。それも当然、皆さんが普段目にしている(記憶に残っている)看板はそれなりに大きくて目立つものばかり。
それらの看板に比べるとだいぶ謙虚なサイズの自分が設置しようと思っていた看板が「まさか制限に引っかかるなんて思いもしなかった!」なんてことも珍しいことではありません。その看板を設置する際の制限を定めた条例のことを「屋外広告物条例」といいます。
この記事では熊本市の屋外広告物条例をベースに、看板のデザイン・設置を行う際に意識するべきポイント・守らなくてはいけないポイントをご紹介します。
屋外広告物条例とは
まず「そもそも屋外広告物条例とは何か?」というところから始めましょう。
端的にいうと屋外広告物条例とは街や自然の景観を守り、そこに暮らす人々の豊かな感性を育て、さらに安全を守るためのものです。
市民生活の中において看板は賑わいを演出したり、必要な情報を提供したりする役割があります。しかし、それぞれの事業者が無秩序に大きなものや派手な看板を乱立させてしまったら、本来の景観美が台無しになってしまう場合もあります。また、安全性に疑問が残るようなもの、或いは劣化してしまって今にも倒れそうな看板は市民に危害を及ぼす可能性もあります。
つまり屋外広告物条例とは都市景観・自然景観を守り、人々の安全を守るために制定されたものであるということです。
また、下記の4つの要件を満たすものは営利・非営利問わず、自分の敷地内に出すもの、絵画や写真でも屋外広告物に該当します。
01. 土地や建物などに取り付けられて常時又は一定期間継続して表示されるものであること。
02. 屋外で表示されるものであること
03. 不特定多数の人々を対象として表示されるものであること
04. 看板、立看板、はり札及びはり紙並びに広告塔、広告板、建物その他の工作物等に掲出され、 又は表示されたもの並びにこれらに類するものであること。
(引用:熊本市屋外広告物のてびきより)
屋外広告物条例の概要
次に屋外広告物制条例の概要についてご紹介します。
簡単に説明すると、
屋外広告物は、禁止または制限にかかわらず出せる「社会生活を営む上で最小限必要な広告物」と、地域や物件によって「禁止または制限がある広告物」にまず分けることができます。具体的には以下の通りです。
禁止広告物
汚れや破損、劣化がひどいものや倒壊や落下の恐れがある看板は設置することができません。また、道路通行の邪魔になったり信号機や道路標識と似ていたりするものも設置が不可となります。
理由は前項で述べている通り、このような看板では都市景観や自然景観、人々の安全を守ることができないからですね。
禁止物件
橋やトンネル、郵便ポストなどには看板を取り付けることはできません。あと、最近はあまり見なくなりましたが電話ボックスなども屋外広告物の禁止物件です。よく(昔?)ドラマや映画などで電話ボックスにチラシやシールを貼って怒られるシーンがありましたが、これが理由なんでしょうね。因みにこの禁止物件に定められているの変わったものでは「銅像、神仏像及び記念碑の類」というのもあります。流石にバチあたりすぎて無いだろう…と思う反面、実際やったヒトが過去にいるのかなぁ…なんて思った次第です。
禁止地域
自然景観や快適な生活環境の保持のため、原則として屋外広告物の表示を禁止する地域です。自家用広告物や道標・案内図板については基準に適合すれば許可を得て掲出可能です。(自家用広告物については、基準内であれば許可は不要です)
禁止地域は第1種禁止地域~第3種禁止地域まであり、それぞれで掲示可能な広告物の基準が異なります。例えば、第1種禁止地域において許可を受けて出せる一般広告物は「1事業所あたりの広告総面積が10㎡以下かつ1表示面が5㎡以下」に対して、第2種禁止地域においては「1事業所あたりの広告総面積が15㎡以下」などの基準差があります。※1
許可地域
許可地域とは経済活動等を考慮して許可により健全な景観を誘導していく地域のことです。原則として広告物を表示するには許可が必要となります。(こちらも禁止地域同様に自家用広告物については、基準内であれば許可は不要です)
許可地域も第1種許可地域~第3種許可地域まであり、それぞれで掲示可能な広告物の基準が異なります。例えば、第1種許可地域において許可を受けて出せる一般広告物は「1事業所または1団の土地につき広告総面積が50㎡以下」に対して、第2種許可地域においては「1事業所または1団の土地につき広告総面積が100㎡以下」となります。※1
また、禁止地域・許可地域でも手続き(許可)不要で出せる広告物及び広告総面積の基準があります。例えば自家用広告物であれば、「第一種禁止地域 2 ㎡以内 」「第二・三種禁止地域 5 ㎡以内」「許可地域 10 ㎡以内」の範囲内では手続きが不要※2です。
※1 看板面積以外にも高さ制限などがある場合があります。
※2 その他関係法令に基づく手続き等は必要な場合がありますのでご留意ください。
屋外広告物条例と看板のデザイン
最後に屋外広告物条例をふまえた看板のデザインについてご紹介したいと思います。
前項で屋外広告物の禁止地域や許可地域において掲示できる看板のサイズについて少し触れました。この制限の中で効果的な看板を設置するためにはやはりデザイン面での工夫がポイントです。例えば、第1種許可地域なら許可を受けて出せる一般広告物は1事業所または1団の土地につき広告総面積が50㎡以下ですが、この50㎡以下という制限は規模によっては案外小さかったりします。
具体例を挙げると、高さが10m程度のポール看板なら実際の看板の版面は幅5m前後、高さが2m位あったりします(高所にあるので案外小さく見えるのですが、実際は結構大きいです)。この場合、5m×2mで10㎡、両面なら20㎡です。他にもコンビニエンスストアのように建物上部に店名やロゴが入った電照部分を作ったりする場合などは、「建物の幅×電照部分の高さ」分だけ面積を消費します。仮に建物の幅が前後左右10mで電照部分が1mだとすると、この部分だけで40㎡となり、ポール看板と合わせると許可が取れない面積になります。
このように、店舗や事業所が屋外広告物の制限の中でどの区域の条件下にあるかということは、看板の設置計画に非常に大きな影響を与えます。特に強い制限がある地域で看板を設置する場合は制限内で上手に看板のデザイン及び設置計画を立てる必要があります。
また、参考に看板のデザインを行う際に係る色や照明などの基準は以下の通りです。
【禁止地域 】
地色に赤、黄色を使用しないこと(第一種禁止地域のみ)
露出・赤ネオン管を使用しないこと。
点滅のネオン管を使用しないこと。
蛍光塗料を使用しないこと。
電光掲示装置又は映像表示装置を使用しないこと 。
【禁止地域・許可地域(共通)】
電飾は、昼間も景観を損なわず点滅速度も穏やかなこと。
周囲の建築物、景観と調和すること。
熊本市景観計画に定められた広告物の表示及び掲出物件の設置に関する行為の制限に関する 事項に適合すること。
(引用:熊本市屋外広告物のてびきより)
まとめ
ここまで屋外広告物についてご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか?
実際に看板の設置を検討する場合、特に留意しなくてはならないのはやはり「設置場所がどの制限地域にあたるのか」ということになると思います。
適用地域の詳細については各自治体の都市整備景観課等で確認可能ですが、それも中々分かりにくいかも知れません。私たちTakeCINC.(テイクシー)では、お客様の事業所の場所や営業内容によって、屋外広告物の制限の中で最も効果的な看板をデザイン・ご提案いたします。
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(2020年11月現在の状況に基づいた記事です。最新の状況については別途お問い合わせ/調査が必要な場合がございます)