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AISAS(アイサス)とAISCEAS(アイセアス)。AIDMA(アイドマ)から変わる消費者行動プロセス

インターネットの普及により消費者の購買活動の動き方が変わりました。

テレビCM・新聞・チラシ・口コミなど、消費者がモノやサービスを購入する「きっかけ」に、新たにWEBというメディアが登場したことにより、これまでにない大きな変化が起こりました。

私は初めてiphone(3Gだったと思います)を手にしたとき、「あぁこれはちょっとヤバいな…」と思ったことを記憶しています。当時弊社の主力商品はチラシだったので、これはチラシ減るなな…と。なので個人的には「スマホの登場」が大きいのかな?と思っています。
私個人のことは一旦置くとして、AIDMA(アイドマ)の法則の登場からAISAS(アイサス)、AISCEAS(アイシーズ)までの流れを理解しながら、これからどのように活用していくかを考えていきましょう。

AIDMA(アイドマ)~消費者行動プロセスとは

それでは早速、消費者行動プロセスとは何か?というところからスタートします。
消費者行動プロセスとは、消費者が商品やサービスなどを認知して、そこから実際の購入につながるまでの仮説のこと。1920年代にサミュエル・ローランド・ホールが「Retail Advertising and Selling」の中で提唱し、消費者が起こす行動の頭文字をとってAIDMA(アイドマ)の法則と名付けられました。
みなさん同じだと思いますが「全く知らないもの」や「興味がないもの」、「見たことも聞いたことのないもの」は買わないですよね?私たちが購買活動を行うときはこのAIDMA(アイドマ)の段階プロセスを踏んでいますよ!ということだと捉えます。

それでは一つずつ解説していきます。

A:Attention(注意)

まずは認知段階。
商品を知ること=AIDMAの最初のA「Attention(注意)」です。
どんなに高性能な商品やリーズナブルなサービスがあっても、知らなければ買うことはありませんし、知られなければ、その商品やサービスが売れることはありません。
従って、まずはこの認知活動が最初のプロセスとして非常に重要であり、それを積極的に行う必要があります。

I:Interest(興味)

次に興味を持ってもらう段階。
AIDMAのI「Interest(興味)」です。
Attention(注意)で認知されても、まだ消費者は興味を持ってません。

そこで次の段階で、商品やサービスが消費者にとってどんな役割を果たすのか?どんな悩みや不満を解決できるのか?どんなに便利なのか?などを知ってもらう必要があります。ここではその興味に対してそれほど深く考えません。従って、興味を持ってもらいたいポイントを簡潔に分かりやすく発信することがポイントです。

D:Desire(欲求)

興味を持つことと欲しいと思うことは別のことです。
従って次は消費者に「欲しい」と思ってもらう必要があります。その段階がAIDMAのD「Desire(欲求)」です。
具体的には、「欲しい」と思っても金額の問題や必要な時期、またはサイズや保管場所、そもそも本当に必要なのか?などの問題もあるでしょう。そのような消費者の不安や課題を取り除くような発信やセールスプロモーションが行います。

M:Memory(記憶)

私たちを含む消費者は日々の生活の中で沢山の情報に触れます。
その過程において前段階までにその商品やサービスに持っていた興味や欲求がどの商品だったのかを忘れてしまうこともあります。そこでその記憶=Memoryを呼び起こす必要があります。
それがAIDMAのM「Memory(記憶)」です。

A:Action(行動)

実際に消費者が購買活動を起こす段階がAIDMAの最後のA「Action(行動)」です。
この段階では購入自体は決定されているので、「どこで買えるのか?」「どうすれば買えるのか?」
など購入までの流れや方法をいかにスムーズに導くかが重要となります。

AIDMA(アイドマ)活用事例

それでは次にAIDMAのマーケティング活用事例を見てみましょう。
AIDMAはマーケティングにおいては「認知段階」「感情段階」「行動段階」3つのプロセスに分けて考えます。まずは商品やサービスに注意を払うようになる「認知段階」、次が興味や関心を持ち、欲しくなり、記憶する「感情段階」、最後に購買行動が発生する「行動段階」です。

認知段階

ある日の夜、Aさんが趣味のまとめサイトを眺めていると「驚きのゼロカロリーライス!」というバナー広告を目にしました。Aさんは健康診断で基本的には健康だったもののメタボ気味だと評価され、健康維持のためになんとかしないとなぁ…とぼんやりと考えていたところでした。

感情段階

Aさんは「炭水化物」が大好きで、ダイエットをするにしても「炭水化物」をカットすることは絶対に不可能だと考えていました。これだったら出来るかも?と思ったAさんは早速ゼロカロリーライスのことを調べてみました。
そこで気になっていた原材料や栄養素のことなどを知ることができ、他にも「ゼロカロリーヌードル」や「プロテインミート」などの商品があること、スポーツ選手やモデルのユーザーも多いこと、価格も思っていたより安価であることが分かりました。
安心したAさんはとりあえず資料請求をしてみることにしました。

行動段階

数日後、他のユーザーの体験談や、その他の商品カタログ、さらに初回割引のクーポンコードが同封された資料が届きました。資料を閲覧しサポートや保証についても詳細に理解したAさんは購入を決断、マイページのQRコードから申し込みを行いました。

このようなそれぞれの段階においての消費者心理プロセスを理解することで、その段階において適切なマーケティングアプローチを戦略的に考えることが出来るようになります。

AISAS(アイサス)の法則

インターネットの普及で変化した消費者行動により登場したのが「AISAS(アイサス)」の法則です。前述の通り、AIDMA(アイドマ)は1920年代に登場したモデルなので、これをインターネットが普及した時代に適用できるように発展させたものだともいわれていて、2004年に電通により提唱された消費者行動プロセスです。
こちらもAIDMAと同様に5段階で構成されていますが、後半の3つがAIDMAと異なります。
ここでは、前述のAIDMAの内容を踏まえながら後半の「SAS」3つを解説します。

S:Search(検索)

商品やサービスに興味を持ったユーザーがインターネット検索により自ら情報を集める段階です。
検索に使われるインターネット媒体は数多く存在するので、ターゲット層が利用している検索媒体を明確にし、該当する媒体での情報発信を行います。ホームページの内容を充実させたり、ユーザビリティの改善を行うことで実際の購入のサポートを行います。

また、インターネット検索はその性質上、同時にその商品やサービスの類似品も検索していることも特徴です。

A:Action(行動)

基本的にはAIDMAと同様の段階ですが、決済手段(クレジットや電子マネー)や申し込み方法など、インターネットで完結できるようなフローにしたりすることで消費者の行動を推進することができます。

S:Share(共有)

商品・サービス購入後にレビューやSNSでの共有が行われます。
この商品・サービスの感想のShareが他の消費者・ユーザーのAttentionやInterestにつながります。従って、商品・サービスは販売後どれだけ多くの利用者にShareしてもらうか?どれだけ評価の高いレビューをしてもらえるか?ということが非常に大きなポイントとなります。

AIDMA(アイドマ)とAISAS(アイサス)の優劣はある?

AIDMAもAISASもどちらも消費者行動プロセスであり、その違いは優劣で判断するものではありません。確かにAIDMAはインターネット普及以前、つまりテレビや新聞、雑誌等のいわゆるマス媒体を活用したモデルで、インターネット普及後の消費者行動プロセスに完全に適合しているかと言われれば、違う。と評価せざるを得ないかもしれません。
一方で、一般的なコンビニでのジュースの購入など、頻度が高く購買決定までの期間が短いもの、或いは個人の好き嫌いなどの感情に左右されるものは共有されることが少ないとされ、そのような商品やサービスにはAIDMAが向いているといわれています。

AISCEAS(アイセアス)の法則

AISCEAS(アイセアス)とは2005年ごろにアンヴィコミュニケーションズの望野さんという方が提唱した消費者購買プロセスです。AISCEAS(アイセアス)は、インターネットの普及により行動プロセスの中に検索や共有といった行動が加わることで登場した「AISAS」をより詳細に分けた消費者行動プロセスモデルです。
具体的には、「AISAS」→「AIS”CE”AS」と分けていることが特徴です。つまり、わかりやすくすると以下の図のようになります。

上記のようにSearch(検索)とAction(行動)の間に、Comparison(比較)とE:Examination(検討)が入った形になります。

C:Comparison(比較)

インターネット検索においてはその性質上、目的の商品やサービスの類似品や同等の機能を持った商品を比較することが容易となります。従って、どのようにして他者サービスにない自社サービスの強みを見せることできるか?どのようにして自らのサイトに帰ってきてもらうかの施策が必要です。

E:Examination(検討)

比較した類似の商品・サービスをいくつかに絞り、さらに検討するフェーズです。一般的な商品ではこの段階でレビューや口コミなどが検討において大きな影響をもつと推測されます。
また、BtoBの商品・サービスにおいては営業的なアプローチやフォロー(営業マンの説明等)がポイントとなります。

※AISCEASは「アイシーズ」と読むことも多いようですが、この記事では提唱元の表現に合わせて「アイセアス」で統一しています。

AISAS(アイサス)・AISCEAS(アイセアス)の違い

AISAS(アイサス)とAISCEAS(アイセアス)はどちらも「インターネット普及後」の消費者行動プロセスです。前述の通り、基本的な流れは全て同じであるものの、AISCEASにはAISASにより詳細な段階が付け加えられています。
AISASにおいての行動分析の際にも、消費者による比較や検討が行われる前提での分析を行うと思いますが、「比較」と「検討」を明確に分析する段階プロセスと定義するAISCEASの方がより慎重で具体的な消費者購買プロセスだといえます。

まとめ

AIDMA(アイドマ)やAISAS(アイサス)、AISCEAS(アイセアス)をマーケティングにおいて有効なのは、消費者に段階プロセス毎のアプローチを行うことを可能とする手法だからです。
これからリリースしようとしている商品やサービスはこれらの法則に則ったマーケティング戦略を立案していくことで実際の消費者行動に近いところでのマーケティングを行うことが可能となり、また売上が不振なものであれば、これらのプロセスのどの段階に原因があるかを突き止めることで対策を立てることもできます。
個人的には、特に感性を大事にしている経営者や広報担当者の方はこれらの分析手法を使うことで新しい見え方が生まれてくることになるので是非取り入れて欲しいと思います。